›November 05, 2008

-Bloody Givi-

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「ふぅ…やらなければならない事はまだまだ山積しているな…」
 
 
グリーンエリアの商業地区の一画に
派手なホロディスプレイを掲げた18階建てのビルがある。
真っ黒なバックに浮かび上がる、
真っ白なワンピースを着た
真っ赤なロングヘアーの美しい少女が
両手に馬鹿でかい銃を持ち、くるくると回りながら楽しそうに踊っている。
やがて胸元から垂れる一筋の赤黒い筋が白いワンピースを染めていき
みるみるうちにそれをどす黒い血の色へ変えていく。
そこで少女が無機質な笑みを浮かべ、こう言った。

「赤が足りない」

-Bloody Givi-
 
昨年、N◎VAに上陸したファッションブランド。
白と赤を基調とした、ヴィヴィッドなデザインが
N◎VAのニューロジャンキーたちに受け入れられるまで
そう時間は掛からなかった。
その強引なプロモーションや経営戦略は
いくつかの同業者の不興を買うことにはなったが
着実にN◎VAのファッションシーンの中で大きな存在となっていった。
創始者の名はGuinevere。
かつて彼女はカーライル・シンジケートに身を置き
その名の通り、アーサー王に破滅をもたらす魔性の女として
尊敬と畏怖を一身に纏っていた狂気のデザイナー。
彼女の赤は、間違いなく本物の赤だった。
 
 
彼女はもういない。
彼女の跡を継いだ娘もまた、先日N◎VAを去ったという事になっている。
今、Bloody Giviを統べるのは神崎紅葉という一人のエグゼクである。
カーライル・シンジケートのお家騒動に巻き込まれ
自らのちっぽけな権益を護るために奔走した神崎を待っていたものは
一時期の勢いを完全に失ったBloody Giviのオーナーの座であった。
 
 
真新しい執務室のローズウッドのデスクに肩肘を突いて
神崎紅葉は大きなため息を一つついた。
 
 
「手持ちのカードは2枚、か」
 
Guinevereの双子の娘FreyjaとFrey。
"災厄のモデル"として妖艶な魅力を持つ姉Freyja。
新しいBloody Giviのブランドを確立していくのには
絶対に欠かせないカードだ。
Bloody Giviのビルに備え付けられているホロディスプレイ上で
恐らく今も艶やかに舞っているであろう彼女の姿を思い浮かべたが、
神崎にはFreyja以上にBloody Giviを着こなす存在が
この世に居るとは到底思えなかった。

そして、Guinevere亡き後
Bloody Giviを独りで護ってきた妹Frey。
正直、経営者としての資質は高くないと言えるが
神崎はFreyにデザイナーとして類まれなセンスと
誰よりも狂気のデザイナーGuinevereの
意思を読み取る力があることを見出していた。
あと1ミリでも狂えば破綻してしまいそうな
絶妙なバランスを有するBloody Giviのデザインは
彼女なくしては再現できないだろうと確信している。
 
Bloody Givi代表取締役 神崎紅葉は
FreyjaとFreyに執務室に来るよう命じるため
デスクの上のコンソールを叩いた。
 
 
さてさて、どこから手をつけようかな───。
 
 
面倒くさそうに、そう独りごちた神崎だが、
その表情は新しい玩具を手に入れた子どものように
ひどく楽しそうにも見えた。

Comments

+   +
  ∧_∧  +
  (0゚・∀・) ワクワクテカテカ
  (0゚∪ ∪ +
  と__)__)   +

Posted by: 門臥真一 at November 6, 2008 12:35 AM

>門臥氏
ういっす、先日は色々とありがとう。
久しぶりに神崎をプレイできて楽しかったです。
あまりに楽しかったので、ちょっと暴走気味で
O3氏に若干迷惑掛けたかもしれませんが
まぁ、彼のキャストはN◎VAを去るのはデフォと聞きましたんで
あまり気にしない事にします。


と言うことで、Bloody GiviとFreyjaとFreyは俺が預かった!

Posted by: pal at November 7, 2008 11:27 PM
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